公式をど忘れしても焦る必要はありません。すべての三角関数の応用公式は、土台である「加法定理」という1つの根幹から枝分かれしているに過ぎないからです。積和の公式の導出ロジックさえ頭に叩き込んでおけば、試験用紙の余白で10秒あれば正確な式を復元できます。
加法定理の基本式を思い出してみましょう。
$\sin(\alpha+\beta) = \sin\alpha\cos\beta + \cos\alpha\sin\beta$ ・・・(A)
$\sin(\alpha-\beta) = \sin\alpha\cos\beta - \cos\alpha\sin\beta$ ・・・(B)
ここで作りたい形が「$\sin\alpha\cos\beta$」ならば、不要な後ろ側の項($\cos\alpha\sin\beta$)を相殺するために、(A)と(B)を足し合わせます。
$\sin(\alpha+\beta) + \sin(\alpha-\beta) = 2\sin\alpha\cos\beta$
両辺を2で割れば、一瞬で公式①の $\sin\alpha\cos\beta = \frac{1}{2}\{\sin(\alpha+\beta) + \sin(\alpha-\beta)\}$ が手に入ります。これが積和の公式 証明の基本形です。
逆に「$\cos\alpha\sin\beta$」を残したい場合は、(A)から(B)を引くだけで公式②が完成します。コサイン同士、サイン同士の積を求めたいときは、コサインの加法定理の和と差をとるだけです。この「並べて足すか引くか」という作業スピードを極限まで上げることこそが、どんな難問でも揺るがない最強の防御策になります。