介護現場の生々しい現実を浮き彫りにするのが、全国各地の手記や当事者団体に寄せられる切実な告白です。ある50代の配偶者は、自著の手記のなかで当時の過酷な状況を次のように吐露しています。
「朝起きてから夜眠るまで、いつ地雷を踏んで怒鳴り散らされるか怯える毎日でした。外では穏やかに会話ができるため、親族や近隣からは『大げさに騒ぎすぎだ』と冷たい目で見られ、家の中ではサンドバッグにされる。夜中に一人で台所に座り込み、消えてしまいたいと泣き崩れる日々が何年も続きました」
ソーシャルメディアやネット上のコミュニティ(知恵袋や掲示板など)を定点観測すると、高次脳機能障害家族会 ネットの反応には極めて重篤な孤立感が渦巻いています。「夫の暴力から子供を守るために別居したいが、罪悪感で押しつぶされそう」「要介護認定が非該当になり、使えるサービスがない」といった悲鳴が絶えません。
家族が限界を迎えたときに発症する介護うつ・バーンアウト対策を講じる上で警戒すべきは、「自分が支えなければこの人は生きていけない」という強迫観念です。真面目で責任感の強い家族ほど、周囲に弱音を吐けず、睡眠障害や抑うつ状態に陥るリスクが跳ね上がります。厚生労働省や専門リハビリテーション機関の調査でも、主介護者の約半数が中等度以上の抑うつ傾向を示しているという過酷な統計が報告されています。