成人に生じる大人の発疹と全身のかゆみは、単なる体質の問題ではなく、体内の免疫システムや自律神経の乱れ、外部から摂取した物質に対する過剰防御が引き金となります。臨床現場で頻度の高い4大要因を正しく把握することが解決への第一歩です。
第一に挙げられるのが蕁麻疹の原因の大半を占める血管浮腫・肥満細胞の活性化です。皮膚の血管周囲にあるマスト細胞からヒスタミンという炎症物質が大量に放出されることで、毛細血管が拡張して血漿成分が漏れ出し、皮膚が赤く盛り上がる膨疹(ぼうしん)が多発します。特定の食品(サバ、エビ、カニ、豚肉、小麦など)や物理的刺激(寒冷、温熱、圧迫)によって起きる急性蕁麻疹のほか、精神的緊張や過労、睡眠不足が引き金となるストレス性蕁麻疹も働き世代に急増しています。
第二は、IgE抗体を介した即時型のアレルギー反応です。食事や特定のサプリメント、ラテックス(天然ゴム)製品、花粉などに免疫システムが過敏に反応し、摂取や接触から数分〜2時間以内に全身へ激烈なかゆみと紅斑が広がります。
第三に見過ごされやすいのが、医薬品によって引き起こされる薬疹の初期症状です。風邪薬、抗生剤、解熱消炎鎮痛薬(NSAIDs)、高血圧治療薬、痛風治療薬などを服用して数日から数週間後に発症します。薬疹は初期段階では単なる蕁麻疹と見分けがつきにくく、放置するとスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)や中毒性表皮壊死症(TEN)といった致死率の高い重症薬疹へ移行する恐れがあります。
第四は、細菌やウイルス感染に起因するウイルス性発疹症です。成人であっても突発性発疹様ウイルス、パルボウイルスB19(リンゴ病の病原体)、EBウイルス、麻疹・風疹などに感染すると、発熱と全身の発疹がほぼ同時に出現します。感染症に伴う皮疹は、熱が下がったタイミングで全身に現れるケースもあり、単なるアレルギーとは治療アプローチが根本から異なります。