医療現場や闘病コミュニティの記録を丹念に追うと、強膜炎の初期症状を見誤り、苦痛を長引かせてしまった患者たちの切実な証言が浮かび上がってきます。
都内のIT企業に勤務する30代後半の男性患者は、当時の様子を手記でこう振り返っています。
「新規プロジェクトの納品前で連日徹夜が続いていた頃、左目が真っ赤になり、奥底がズキズキと痛み出しました。眼精疲労だと思い、市販のビタミン配合点眼薬をさして冷やしていましたが、3日目の夜には痛みが側頭部まで突き抜け、枕に頭をつけることすらできなくなりました。翌朝駆け込んだ眼科で即座に大病院への紹介状を書かれ、単なる充血ではないと知って血の気が引きました」
また、大学病院の角膜・前眼部専門外来を担当する眼科医は、診察現場での危機感を次のように語っています。
「結膜炎だと思い込んで市販薬や抗菌点眼薬で1〜2週間様子を見てしまい、炎症が深層に及んで強膜が薄くなる『菲薄化(ひはくか)』が進んだ状態で来院される患者さんが後を絶ちません。強膜炎は痛みの質が通常の眼疾患とまったく異なります。『鎮痛剤が効かない奥の痛み』や『夜間に悪化する眼痛』を自覚した段階で、一刻も早く専門機器を備えた眼科を受診しなければなりません」