大手シンクタンクの調査員や事業会社のデータアナリストへの取材、ならびにSNSや社内情シス部門に寄せられる相談内容を分析すると、関数選択のミスに起因するトラブルが後を絶ちません。
「マーケティング部門から上がってきた顧客満足度レポートの標準偏差が、他部署の集計値と微妙に一致しない」という現場の声がありました。原因を突き止めたところ、一方は全回答者を母集団と見なしてSTDEV.Pを使用し、もう一方は母集団(全顧客数万人)からのサンプリングと捉えてSTDEV.Sを使用していたという単純な認識齟齬でした。データ数が数百件程度であれば差は僅小ですが、サンプル数が数十件程度の小規模なグループ検証では、分母の「n」と「n - 1」の違いが明確な数値差として表面化し、意思決定に狂いを生じさせます。
また、大量の項目を一括で処理したい実務現場では、Excel統計分析ツール使い方の習得が鍵を握ります。アドイン機能である「データ分析」ツールを有効化し、「基本統計量」を実行すれば、平均、標準誤差、中央値、最頻値、標準偏差、分散、歪度、尖度が一瞬で別シートに出力されます。関数を1セルずつ打ち込む手間を省き、入力ミスを根絶する手法として、データ解析のプロの間では標準的なワークフローとして定着しています。