家庭菜園愛好家の間で長年議論が交わされているのが、里芋の種芋の向きをどうセットすべきかという問題です。教科書通りの「芽を上に向ける通常植え」に対し、あえて芽を下に向ける「逆さ植え」、さらには横に倒す「横植え」など、複数の手法が存在します。近年、プロ農家や農業試験場の栽培比較でも注目を集める里芋の逆さ植え理由は、芽が地上へ出ようと遠回りして湾曲しながら伸びる過程で、茎の基部が太くなり、親芋の肥大が適度に抑えられて子芋・孫芋の着生位置が深くなる点にあります。
通常植えの場合、親芋が旺盛に育ちすぎて子芋が浅い位置に密集し、小粒になりやすい傾向があります。一方、逆さ植えを施すと、地中深くから複数の力強い側芽が立ち上がるため、均一な大きさの良質な子芋が数多く収穫できるという生理学的メリットが実証されています。それぞれの特徴を客観的な指標で比較したのが下表です。
逆さ植えは魅力的な収穫量をもたらす裏ワザとして広まっていますが、土壌が硬く締まりやすい粘土質の畑や、排水不良の圃場で行うと、芽が地上に出る前に力尽きて腐敗する恐れがあります。土壌構造がフカフカに仕上がっていない場合は、無理をせず「通常植え」または「横植え」を選択するのが確実な判断です。