インターネット上の掲示板やSNSで定期的に浮上するのが、「クルマは10年を過ぎたら毎年車検になるから維持費が跳ね上がる」という言説です。実際の道路運送車両法を確認すると、この情報は現在の乗用車には当てはまりません。10年超え車検毎年の真相を紐解くと、過去の法制度と現在の規定が混同されている実態が浮かび上がってきます。
かつての日本では、新車から10年を経過した普通乗用車は1年ごとに車検を受けることが義務付けられていました。しかし、自動車の製造技術向上や耐久性の飛躍的な進化を受け、1995(平成7)年の道路運送車両法改正によってこの規定は撤廃されました。それ以降、どれほど年式が古くなった自家用普通乗用車や軽自動車であっても、車検周期は一律で「2年ごと」のまま維持されています。
では、なぜ今なお「10年を超えたら毎年」という話が独り歩きしているのでしょうか。自動車整備工場へのヒアリングや業界データによると、主に3つの要因が重なっています。
- 昭和・平成初期の法制度を知る世代の刷り込み:かつて毎年車検を経験したベテラン層のアドバイスが、そのまま家族や知人に伝承されているケース。
- 商用車・貨物車との混同:仕事で使われる4ナンバーの貨物バンやトラック、レンタカー、タクシーなどは現在も初回以降「1年ごと」の車検が義務付けられており、これらと自家用乗用車がごちゃ混ぜに認識されているケース。
- 「13年経過による増税」との勘違い:新車登録から13年が経過すると自動車税や自動車重量税の税率が引き上げられるため、「10年超=維持費が激増=車検頻度が増えた」と記憶が変形して定着してしまったケース。
自家用車として登録されている乗用車である限り、走行距離が20万キロを超えていようと、新車登録から15年が経過していようと、車検を受ける頻度そのものは「2年ごと」で変わりません。まずはこの基本事実を正しく押さえておく必要があります。