現代の経済システムにおいて、なぜこれほどまでに経営と所有の切り離しが定着したのでしょうか。その歴史を紐解くと、産業の巨大化と資本の論理が密接に絡み合っている事実が見えてきます。
所有と経営の分離が生まれた経緯を語る上で欠かせないのが、19世紀後半から20世紀初頭にかけての産業革命と鉄道網・重化学工業の爆発的拡大です。個人や創業一族の私財だけでは賄いきれない天文学的な設備投資資金を集めるため、広く一般大衆から小口の出資を募る「近代株式会社」の仕組みが発展しました。
この転換点を鮮やかに理論化したのが、1932年に発表されたバーリとミーンズの近代株式会社論(Adolf Berle & Gardiner Means, 『近代株式会社と私有財産』)です。彼らは、株式の分散化が進んだ巨大企業では、個々の株主が経営に関与するインセンティブを失い、事実上の支配権が経営陣(理事者)へ移行した現象を喝破しました。自らリスクマネーを出資する投資家と、事業運営に特化したプロフェッショナルの分担こそが、巨大組織を効率的に走らせる唯一の道だったのです。
株式会社の仕組み詳細まとめとして整理すると、法律上の所有者である株主は「株主総会」を通じて取締役の選任・解任権を行使し、選任された取締役が実際の意思決定と業務執行を担います。出資者は出資額以上の責任を負わない「有限責任」を享受する代わりに、日常的な業務執行権を専門家へと委任する契約構造が確立されました。