2つの数のすだれ算を難なくこなせるようになった子どもたちが、テストで一斉に失点するのが「3つの数の最小公倍数」です。ここには、学校の教科書では深く踏み込まれない特殊ルールが存在します。
具体例として、「4, 6, 9」の最小公倍数を求めてみましょう。多くの児童が次のような致命的なミスを犯します。
【よくある誤答例】
「4と6と9の3つを同時に割り切れる数がない(公約数が1しかない)から、これ以上割れない! よって最小公倍数は 4 × 6 × 9 = 216 だ!」
――これは完全な間違いです。4, 6, 9の正解の最小公倍数は「36」です。
3つの数ですだれ算を行う場合、「2つの数だけでも割り切れる共通の約数があれば、割り算を続行しなければならない」という鉄則があります。この際、「割れない数(割り切れない数)は、そのまま下の段へスライドして下ろす」という作業を行います。
【正しい3つの数のすだれ算ステップ】
- 「4, 6, 9」を並べる。3つ共通の約数はないが、「4」と「6」は「2」で割れる。
- 左側に「2」を置く。4÷2=2、6÷2=3。9は2で割り切れないため、そのまま「9」として下に下ろす。(下段:2, 3, 9)
- 次に「2, 3, 9」を見る。2は割れないが、「3」と「9」は「3」で割れる。
- 左側に「3」を置く。2はそのまま下ろして「2」。3÷3=1、9÷3=3。(下段:2, 1, 3)
- 残った「2, 1, 3」のうち、どの2つの組み合わせを取っても、もう共通で割れる数はない。ここで終了。
- 外側の数をすべてL字型にかける:
2 × 3 × 2 × 1 × 3 = 36
この「2つだけでも割る」「割れない数はそのまま下ろす」という例外ルールを理解していないと、塾の復習テストや模試で手痛い失点を喫します。3つの数の計算において、最大公約数を求める場合は「3つすべて割れなくなった時点で即座に終了」しますが、最小公倍数の場合は「2つでも割れる限り粘り強く下ろして割り進める」という挙動の差異を徹底的に叩き込む必要があります。