物語の起点となるのは、エジプトで空条承太郎たちに倒されたDIOが生前遺した「一冊のノート」でした。この日記には、DIOがスタンド能力の究極形として構想した「天国へ行く方法」が詳細に記されていました。しかし、ノートそのものは承太郎の手によって焼却処分されており、プッチ神父はその記憶を取り戻すために承太郎の「記憶のDISC」を奪い取るという過激な手段に出ます。
DIOが遺した覚書によれば、天国へ至るためには極めて緻密な条件を揃える必要がありました。第一に「我がスタンド『ザ・ワールド』に必要なものは信頼できる友」、第二に「極刑を宣告されたような罪人36名以上の魂」、そして第三に「知恵ある者を警戒させないための14の言葉」です。これらはすべて、DIOの骨を媒介として誕生する未知の生命体「緑色の赤ん坊」を覚醒させ、その肉体と魂をプッチ自身と同化させるための厳格なプロセスでした。
なぜ単なる呪文ではなく「14の言葉」でなければならなかったのか。その理由は、赤ん坊がDIOの肉体の一部でありながら、本能的に他者を拒絶する強烈な防衛本能(触れたものを無限に縮小させるスタンド能力)を持っていたためです。DIOは自らの魂を継ぐ者に対し、自身が定めた絶対的な精神の暗号を刻み込ませることで、赤ん坊に「この人物こそが我が魂を受け継ぐ半身である」と認識させる安全装置として機能させたのです。
DIOの目指した「天国」とは、死後の楽園ではなく、全人類が未来に起こる自らの運命をあらかじめ知ることで、絶望を克服した精神の境地でした。プッチ神父はこの教義に狂信的な救済を見出し、DIOの遺志を忠実に再現することに生涯を捧げたのです。