自宅にアジャスタブルベンチ(角度調整可能なベンチ)がない環境では、下部のトレーニングを諦めてしまいがちです。しかし、身体のポジショニングを工夫する大胸筋下部ダンベルベンチなし代用法を導入すれば、床の上であっても十分なデクライン角度を作り出すことができます。
最も実効性が高いのが、床に仰向けになり膝を立てた状態で腰を高く突き上げる「グルートブリッジ」の姿勢を維持しながら行うダンベルプレスです。骨盤を天井に向けてしっかりと持ち上げることで、上半身と大腿部のラインが一直線、あるいはそれ以上の角度を形成し、実質的に15〜20度のデクライン角度が生まれます。この体勢からダンベルをみぞおちの方向へ下ろし、真上ではなくやや足元方向を意識して押し出します。
ただし、現場目線での客観的な事実として、床でのトレーニングには「可動域(ROM)の物理的制限」という明確なデメリットが存在します。肘が床に早く接地してしまうため、大胸筋下部が最も引き伸ばされるストレッチポジションでの強い刺激が得られません。この欠点を補うためには、硬めのクッションや折りたたんだ毛布を背中の中心線(肩甲骨の間)に敷き、胸郭を床から数センチ浮かせることで、肘の可動範囲を確保する工夫が有効です。