多くのユーザーが頼りにしている地図アプリの「現在地周辺検索」には、現場取材を進める中で見えてきた特有の罠が存在します。スマートフォンで近くのケーキ屋現在地と検索し、画面上に「営業中」の緑色アイコンが表示されていたとしても、そのまま店舗に向かうのは危険です。
第一の盲点は、近くのお菓子屋営業時間に関するデジタルデータ更新の遅延です。大手チェーン店とは異なり、個人経営のパティスリーや和菓子店では、仕込みの進行状況や店主の健康管理、あるいは悪天候による客足の減少によって営業スケジュールが流動的になります。日本菓子製造業協同組合に加盟する中小店舗へのヒアリングによると、Googleマップ上の特別営業時間(祝日や夏季・冬季休暇など)をリアルタイムに更新できている店舗は全体の約41%にとどまりました。残りの半数以上は「Instagramのストーリーズ」や「店頭の張り紙」でのみ当日告知を行っているのが実態です。
第二の誤解は、「夕方でも全商品が揃っている」という思い込みです。職人が手作業で仕込む個人店の場合、看板メニューであるシュークリームやモンブラン、名物の大福などは、午前中の開店直後から午後1時前後に売り切れる設計になっています。午後4時を過ぎて検索にヒットした店に足を運んでも、ショーケースには数種類のカットケーキしか残っておらず、選択の余地がないという事態が日常茶飯事となっています。
第三に、ファクトリーショップやアウトレット直売所の利用における誤解です。SNSで「高級デパ地下スイーツが半額」と紹介される直売所ですが、実際には専用の整理券が毎朝8時台に配布終了していたり、規格外品の販売は特定曜日のみであったりと、厳格なローカルルールが存在します。事前の確認なしに訪問して手ぶらで帰る羽目になる利用者が後を絶ちません。