実際に長野県辰野町の大城山に位置する「日本中心の標」を訪れる場合、旅のスタイルは大きく分けて「徒歩でのハイキング登山」と「自家用車・レンタカーでの林道走行」の2通りがあります。標高1,027mの頂きを目指すルートは、里山の豊かな植生と四季折々の自然美を体感できる隠れた名コースです。
電車を利用する場合の拠点となるのは、JR飯田線・中央本線の「辰野駅」です。駅から登山口までは徒歩約15分から20分程度で到達できます。登山口から山頂までの登山道はしっかりと踏み固められており、片道の歩行時間は約1時間から1時間20分が目安です。序盤は落葉樹林の木漏れ日を浴びながらの心地よい道ですが、中盤から後半にかけては傾斜がやや急になる箇所があり、しっかりと息が上がります。スニーカーでも天候が良ければ登れますが、前日に雨が降った場合は粘土質の土が滑りやすくなるため、グリップの効くトレッキングシューズの着用が推奨されます。
歩みを進めて山頂広場に飛び出すと、視界が一気に開けます。眼下に広がるのは辰野町の盆地景観と、南へ向かって流れる天竜川のきらめき。さらに目を上げれば、雪を冠した中央アルプス(木曽山脈)、荒々しい山肌を見せる南アルプス(赤石山脈)、そして東側には八ヶ岳連峰までもが一望できる360度近い大パノラマが広がっています。
広場の中央には、堂々たる筆文字で刻まれた「日本中心の標」の石碑と、素朴な木製の標柱が並び立っています。この場所に立つと、周囲の四方を名峰に囲まれ、まさに自分が日本列島の心臓部に立っているという実感が湧き上がってきます。広場にはベンチや東屋、双眼鏡が備え付けられた展望台も整備されており、持参した湯で淹れたてのコーヒーを味わいながら雄大なアルプスを眺める時間は、都市部の喧騒を忘れさせてくれる贅沢なひとときです。