ネット上で囁かれる「飲むだけで2カップ上がった」「1ヶ月で谷間ができた」という体験談の真偽を確かめるべく、美容外科医や内分泌内科の専門医への取材データを検証すると、極めて冷酷な現実が浮かび上がります。結論から述べれば、胸を大きくするサプリ効果の真相は、医学的に「乳腺を安全かつ恒常的に増殖させるサプリメントは存在しない」という一点に尽きます。
女性の乳房は、約9割の脂肪組織と約1割の乳腺組織で構成されています。思春期や妊娠期にバストが大きくなるのは、エストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が活発になり、乳腺組織が刺激されるためです。しかし、市販の健康食品に分類される錠剤を口から摂取しても、その成分が都合よく胸の乳腺だけに作用することはありません。体内に吸収された成分は全身を巡るため、仮にホルモン作用が強ければ、子宮内膜の異常増殖や全身のむくみといった異変を引き起こします。
「一時的に胸が張った」と感じる人がいる理由も、乳腺が恒久的に成長したわけではなく、月経前症候群(PMS)と同様のホルモンアンバランスによる一時的な浮腫(むくみ)に過ぎません。摂取をやめれば元に戻るばかりか、後述する深刻な内分泌系の不全を招く危険を孕んでいます。