春(4月中旬〜5月頃)になると、枝先にロウソクのような黄緑色の新芽が何本も直立して伸びてきます。造園用語でこの新芽を「みどり」と呼び、これを摘み取って勢いをコントロールする作業がみどり摘みのやり方です。
作業の最大の鉄則は、ハサミを使わず「指先で折る」ことです。この時期の新芽は水分を多く含んで柔らかいため、指で横に倒すようにひねるだけで簡単にポキリと折れます。ハサミを使って切断すると、切断面から松ヤニが染み出して葉先が黒ずんだり、傷口から細菌が侵入したりする恐れがあるためです。
具体的な手順は以下の通りです。枝先を観察すると、中心に最も太く強い芽が伸び、その周囲に2〜4本の小さな脇芽がついています。強い主芽をそのまま伸ばすと枝が太く間延びするため、中心の強い芽は元から指で折り取ります。そして、周囲に残った脇芽のうち、バランスの良い2本だけを「への字」または「V字」になるように残し、残りの脇芽は摘み取ります。残した2本の芽も、長すぎる場合は半分から3分の1程度の長さに指で折り揃えます。こうすることで養分が分散し、短い端正な葉が揃うようになります。
ここで初心者が混乱しやすいのが、芽摘みと芽切りの違いです。春に手で新芽を折る作業が「芽摘み(みどり摘み)」であるのに対し、「芽切り」は主に黒松の盆栽や高級庭木で行われる高度な技術です。芽切りは初夏(6月下旬〜7月上旬)に、当年に伸びた枝をハサミで元から切り落とし、強制的に夏場に「二番芽」を吹かせることで、葉の長さを極限まで短く揃える短葉法(たんばほう)を指します。芽切りは樹木に強烈な負荷をかけるため、十分な施肥管理ができていない庭木や、樹勢の落ちた木に行うとそのまま枯れる恐れがあります。一般的な家庭の庭木であれば、春のみどり摘みを丁寧に行うだけで十分に美しい樹形を保てます。