茎突舌骨筋の支配神経と解剖学の真相|嚥下と国家試験の重要点

茎突舌骨筋の支配神経と解剖学の真相|嚥下と国家試験の重要点

茎突舌骨筋の支配神経と解剖学の真相|嚥下と国家試験の重要点にまつわる役立つ知識を分かりやすく発信ます。

頸部のバイオメカニクスを正確に把握するためには、舌骨を境にして上下に位置する「舌骨上筋群」と「舌骨下筋群」の対比が欠かせません。舌骨上筋群が舌骨を上方に引き上げるのに対し、舌骨下筋群は舌骨を下方に安定・固定させるアンタゴニスト(拮抗筋)として機能します。

以下の比較表は、両筋群の起始・停止・支配神経、および臨床的特徴を網羅した構造データです。

筋肉名起始と停止支配神経主な作用と臨床的特徴茎突舌骨筋
(舌骨上筋群)起始:側頭骨茎状突起
停止:舌骨体・大角部顔面神経(第2咽頭弓)舌骨の後上方挙上。顎二腹筋中間腱を貫通する構造が特徴的。顎二腹筋後腹
(舌骨上筋群)起始:側頭骨乳突切痕
停止:中間腱(舌骨へ結合)顔面神経(第2咽頭弓)舌骨の後上方挙上。茎突舌骨筋と並走し後方牽引を強化。顎二腹筋前腹
(舌骨上筋群)起始:下顎骨二腹筋窩
停止:中間腱(舌骨へ結合)下顎神経(三叉神経第3枝・第1咽頭弓)舌骨の前上方挙上、開口運動。前後腹で神経支配が異なる。顎舌骨筋
(舌骨上筋群)起始:下顎骨顎舌骨筋線
停止:舌骨体・顎舌骨筋縫線下顎神経(三叉神経第3枝・第1咽頭弓)口腔底を形成。舌骨を前上方に引き上げ、口腔内圧を高める。オトガイ舌骨筋
(舌骨上筋群)起始:下顎骨オトガイ棘
停止:舌骨体前面頸神経ワナ(C1神経線維/舌下神経経由)舌骨の前上方牽引。舌骨上筋群の中で唯一、脊髄神経由来。舌骨下筋群
(胸骨舌骨筋、肩甲舌骨筋、胸骨甲状筋、甲状舌骨筋)起始:胸骨柄、肩甲骨上縁など
停止:舌骨体、甲状軟骨頸神経ワナ(C1〜C3枝)
※甲状舌骨筋はC1単独舌骨および甲状軟骨の引き下げ・固定。発声時のピッチ調整に関与。

この対比から明確になる通り、舌骨上筋群の内部でも「顔面神経(後方)」「下顎神経(前方底面)」「頸神経ワナ(最深前部)」という3系統の神経支配が混在しています。受験生の間で広く使われる語呂合わせ「額(顎二腹後)にステ(茎突舌骨)キな笑顔(顔面神経)」といった記憶フックも有効ですが、各筋の引き合うベクトルの違いを意識することが臨床的読解力を飛躍させます。

木村 陽翔
著者

木村 陽翔

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。