小児科は何歳まで通えるのかという疑問に対し、医療制度上の答えを端的に述べるなら「法令上の上限規定はない」となります。医師法や医療法において、小児科が診療できる患者の年齢上限を制限する条文は設けられていません。その上で、医療界における基準の拠り所となっているのが、日本小児科学会の年齢基準ガイドラインです。
日本小児科学会は平成18年(2006年)4月、小児科の診療対象年齢をそれまでの「中学生まで」から「成人するまで」へ引き上げる方針を正式に決定し、全国的な啓発を展開してきました。成人年齢が18歳に引き下げられた現在においても、小児科受診年齢に関する公式見解として「子どもが身体的・精神的・社会的に自立を果たすまでの総合医療」を小児科が担うべきという姿勢は一貫しています。医学的な観点から見れば、16歳や17歳の高校生が小児科を受診することは何ら間違いではありません。
しかし、実際の地域医療においては「15歳」と「18歳」に明確な境界線が存在します。小児科受診15歳18歳までの境界線が生じる最大の理由は、薬剤の用法・用量と社会制度の構造です。一般用医薬品(OTC医薬品)や処方薬の添付文書では、15歳以上を「成人用量」として規定することがほとんどです。15歳を超えると体重や肝臓・腎臓の代謝機能が成人と同等になるため、小児特有の細やかな体重換算による投薬設計を必要としなくなる実情があります。
さらに、自治体の小児医療費助成制度の多くが「15歳到達後の3月31日まで(中学校卒業まで)」あるいは「18歳到達後の3月31日まで(高校卒業まで)」を助成期間としていることも、保護者の受診意識を大きく左右する要因となっています。