この歴史的冤罪事件のサスペンスフルな内幕を現代に蘇らせた傑作が、ロマン・ポランスキー監督による映画『オフィサー・アンド・スパイ』(原題:J'accuse、2019年製作)です。ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)を受賞するなど世界的に高い評価を受けました。
本作の秀逸な点は、悲劇の主人公ドレフュスではなく、自らもユダヤ人に対して偏見を持ちながらも「軍人としての良心と法の正義」に従って隠蔽工作に立ち向かったピカール中佐の視点から事件を描いている点にあります。
組織の保身のために捏造される証拠、不都合な真実を口にする者を排除する同調圧力、国家権力が主導するフェイクニュースの拡散など、劇中で描かれる光景は100年以上前の出来事でありながら、現代の情報社会が抱える病理と驚くほど酷似しています。歴史の教訓をリアルに体感できる極めて重要な映像作品と言えます。