なぜ安青錦は、これほどまでに短期間で結果を出し続けることができるのか。その強さの理由は、大きく分けて3つの要素に集約されます。
第1に、レスリングで培った卓越した体幹の強さとバランス感覚です。安青錦は土俵際で追い込まれても体がブレず、相手の力をいなしながら逆転の投げや崩しを決める柔軟性を持っています。重心が低く、足腰の粘りが並外れているため、大型力士の強引な寄りにも決して屈しません。
第2に、前みつを引いてからのスピードと攻めの鋭さです。立ち合いで鋭く踏み込み、一瞬で相手のまわしを引いて前に出る相撲は圧巻のひと言。頭をつけて相手の懐に入る技術が高く、自分の有利な体勢を瞬時に作り出す戦術眼を備えています。
第3に、「技のデパート」と呼ばれた安治川親方の技術指導です。力任せに押すのではなく、相手の重心の移動を見極めた出足や出し投げ、いなしなど、緻密な相撲の駆け引きを部屋で徹底的に叩き込まれています。天性の身体能力に親方の知性派相撲が融合したことで、隙のない万能型力士へと急成長を遂げました。