映画関係者や共演者の間で語り継がれ、今なおネット上でも大きな関心を集めているのが、渡瀬恒彦さんの「芸能界最強伝説」です。腕自慢が集まる昭和の芸能界において、実力者たちが異口同音に「本当に怒らせてはいけない人物」として名前を挙げたのが渡瀬さんでした。
渡瀬さんは学生時代から空手(剛柔流)に打ち込み、二段の腕前を持つ本格派の格闘家でもありました。デビュー当時の荒々しい映画界において、理不尽な挑発や現場のトラブルに対してひるむことなく立ち向かった数々の喧嘩エピソードが存在します。元ヤクザの俳優・安藤昇さんの側近たちを相手に一歩も引かなかった逸話や、撮影所内外での武勇伝は枚挙にいとまがありません。
しかし、渡瀬さんの本質は単なる喧嘩っ早さではありませんでした。自身がどれほど武勇伝を囁かれようとも、バラエティ番組やインタビューで自らの強さを自慢することは一切ありませんでした。むしろ礼儀正しく、後輩やスタッフに対して非常に面倒見が良いことで知られており、その強さは「いざという時に仲間や現場を守るための盾」として発揮されていたのが真相です。