山裾に抱かれた今熊野の核となるのが、「御寺(みてら)」として知られる泉涌寺だ。歴代皇室の菩提所としての格式を保ち続け、境内に一歩足を踏み入れるだけで空気が一変する。静寂が支配する回廊を歩けば、庭園の青もみじや四季折々の花々が目に飛び込んでくる。
西国三十三所観音霊場の一つである今熊野観音寺も見逃せない。頭痛封じや健康長寿の祈願寺として古くから信仰を集め、朱塗りの医王橋が新緑や紅葉に映える美しさは息をのむほどだ。喧騒を離れ、じっくりと自分自身と向き合う時間を求める人々にとって、ここはまさに理想の場所と言える。