昭和30年代に入ると、社会の自浄作用や法整備の波が押し寄せる。昭和33年の売春防止法全面施行前後に向け、警視庁をはじめとする警察当局は、歓楽街の無許可営業や風紀を乱す施設に対する取締りを一気に強化した。無秩序に乱立していた施設は、取り締まりの目を逃れるために構造の変更やカモフラージュを強いられた。
この行政による規制圧力が、結果として従来のホテル・旅館産業全体に構造改革を迫ることになる。健全な観光旅館と、短時間利用を主とする風俗営業施設との線引きが厳格化される中で、事業者は生き残りをかけたブランディングの変更を余儀なくされた。この法規制との攻防こそが、のちに設備やプライバシー保護を高度化させた専門的な宿泊業態を生み出す原動力となった。