契約発表当時、日米のメディアやSNSで大きな議論を呼んだのが「契約金の手取り額」と「カリフォルニア州の高い税金」を巡る問題でした。
カリフォルニア州は全米でも屈指の高税率地域であり、所得税の最高税率は13.3%に達します。これに連邦所得税の最高税率37%や医療保険税などを合算すると、課税対象所得の実に約50%以上が税金として徴収される計算になります。
一部のネット上では「10年後に引退し、所得税のないフロリダ州やテキサス州、あるいは日本へ移住すればカリフォルニア州税を免れるのではないか」という節税目的説が囁かれました。しかし、これには税法上の明確な事実関係が存在します。
米国には1996年に制定された連邦法(H.R. 394)があり、10年以上にわたって実質的に均等に支払われる繰り延べ退職補償金については、「退職金を受け取る時点で居住している州」に課税権があると規定されています。そのため、大谷選手が2034年以降にカリフォルニア州外に主たる居住地を移した場合、理論上はカリフォルニア州税の支払いを回避できる法的構造にはなっています。
しかし、代理人団および現地税理士の見解では、大谷選手側がこの契約を結んだ主たる動機はあくまで「球団の勝利」であり、租税回避が目的ではないと一貫して主張されています。さらに、在籍中の実質手取り額で見ると、年間200万ドルの額面年俸から連邦税・州税・代理人手数料(通常年俸の3〜5%)を差し引いた場合、手元に残る手取り額は年間約80万〜90万ドル(約1億2000万〜1億3000万円程度)に留まります。