華やかな芸能界から一転、高田みづえさんが飛び込んだのは厳格な縦社会と伝統が息づく相撲界でした。夫が創設した松ヶ根部屋(のちに二所ノ関部屋へ改称)のおかみさんとなった彼女は、毎朝早くから弟子の健康管理や食事の采配、部屋の経理や後援会対応まで、膨大な仕事を一手に引き受けました。
入門したばかりの十代の力士たちがホームシックにかかれば母親のように優しく寄り添い、時には礼儀作法について厳しく指導するなど、弟子たちからは「東京のお母さん」として絶大な信頼を寄せられていました。本場所の千秋楽パーティーや大相撲中継の客席、断髪式などで見せた艶やかな和服姿の画像は、角界随一の美しいおかみさんとしてファンの間でも語り草となっています。
歌手時代の華麗なキャリアをひけらかすことなく、裏方に徹して部屋を盛り立てた30余年間。その誠実な人柄と尽力が、夫の部屋経営を成功へと導いた最大の原動力でした。