席についた多くの人を静かにパニックへ陥れるのが「器の蓋がびくとも動かない」という現象です。このトラブルをスマートに切り抜けるために、茶碗蒸し 蓋の開け方 コツと物理的な原理を理解しておくことが欠かせません。
蒸し器から出された茶碗蒸しは、器内部の空気が熱膨張した状態で蓋をされます。それが客席へ運ばれる間に急激に冷やされることで、内部の気圧が下がり、強烈な吸引力、いわゆる真空吸着現象が発生します。この状態で無理やり真上に引っ張り上げようとすると、万が一外れた瞬間に反動で熱い出汁が飛び散り、衣服を汚す大事故に発展しかねません。
現場の仲居やプロの料理人が口を揃えて提唱する茶碗蒸し 蓋が開かない 対処法は極めてシンプルです。器の胴体あるいは上部の縁(フチ)を、両手の親指と人差し指で挟むようにして「キュッ」と軽く内側へ押し込むだけで解決します。陶器や磁器には肉眼では判別できないわずかな弾性があり、器をわずかに変形させることで蓋との間にミクロの隙間が生まれ、空気が「シュー」と入り込みます。気圧差さえ解消されれば、驚くほど軽やかに蓋は外れます。
蓋が外れた際、内側にびっしりとついた湯気・水滴をテーブルの上にこぼさない配慮も大切です。蓋を垂直に1ミリだけ浮かせ、器の真上で斜めに傾けて水滴を器の中に落としてから外します。外したあとの茶碗蒸し 蓋の置き場所 マナーとしては、器の右奥、邪魔にならない折敷(おしき)の端に「内側を上に向けて(山型に伏せるのではなく仰向けに)」置くのが基本です。蓋の裏側に蒔絵や美しい釉薬が施されている場合、その意匠を鑑賞するのも日本料理ならではの粋な楽しみ方といえます。