今回の取材で初めて明らかになった未公開の制作秘話がある。本作が提示するジャンルは、一筋縄ではいかない。息をのむテンポと予測不可能な展開で観客を翻弄するサスペンス・ミステリーとしての側面を持ちながら、登場人物たちの業や絆を深く掘り下げる重厚なヒューマンドラマとしても完璧な完成度を誇る。
「プロットの破綻を恐れずに極限まで追い詰める」という監督の方針のもと、キャスト陣には事前の台本配布すら制限される場面があったという。演者たちのリアルな困惑や本気の焦燥感が、そのまま画面に刻み込まれていく。一切の妥協を許さない現場が生み出す映像表現は、観客の感情を揺さぶる凄まじい熱量を秘めている。