日本の猫映像文化を語る上で、猫写真家として半世紀近く第一線を走り続ける岩合光昭の存在を外すことはできない。世界各地の野生動物や街の猫を追い続けてきた彼の哲学は、被写体と同じ目線にまでカメラを下げるローアングル撮影にある。地面に這いつくばり、猫が世界をどう見ているかを追体験させるその表現は、まさに動物写真の金字塔だ。
こうした映像美学を結実させたのが、長年にわたり質の高い自然・動物ドキュメンタリーを手がけてきたNHKエンタープライズの制作手腕である。妥協のないライティングと被写界深度の深いレンズワーク、そして風の音や猫の足音までを繊細に捉える音響設計。職人技とも言える映像制作のノウハウが組み合わさることで、単なる癒やし動画とは一線を画す、圧倒的な芸術性を備えた映像空間が立ち現れる。