手帳の取得にあたって最も多くの人が陥る罠が、障害者手帳と障害年金の等級の違いに対する誤解です。福祉相談の現場では、「障害者手帳が2級になったので、障害年金2級が自動的に受給できると思っていた」と語る当事者が後を絶ちません。しかし、この2つは制度の成り立ちから管轄、審査基準に至るまで、全くの別制度として独立して設計されています。
障害者手帳(身体・精神・療育)の発行主体は都道府県や政令指定都市などの各地方自治体であり、根拠法も身体障害者福祉法や精神保健福祉法などの福祉法規に基づいています。その主な目的は、「日常生活や社会参加における制約を補うための福祉サービスや減免措置を提供すること」にあります。
対して、障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)を審査・支給するのは国(日本年金機構や共済組合)であり、根拠法は国民年金法および厚生年金保険法です。こちらの目的は明確に「障害による労働能力や稼働能力の喪失に対する金銭的所得補償」です。
この根本的な目的の違いにより、障害者手帳 等級の違いがそのまま年金審査に反映されることはありません。例えば、精神障害者保健福祉手帳で2級を所持していても、障害年金では「就労実態がある」「日常生活能力の判定基準を満たしていない」と判断されれば、3級相当あるいは不支給となるケースが頻発します。逆に、手帳は3級であっても、就職が著しく困難な状態が医学的に証明されれば年金2級を受給できる事例も存在します。手帳の等級判定通知書と年金の決定通知書は、別々の尺度によって下される判断であると認識することが、制度活用における最初の防衛策となります。