アニマトロニクス 歴史の幕開けは、1950年代初頭にウォルト・ディズニーがパリの骨董品店で購入した小さな機械仕掛けの小鳥(オートマタ)に遡ります。ぜんまい仕掛けで歌う小鳥に魅せられたウォルトは、これを電子制御と音声に同期させてパークのアトラクションに導入できないかと考えました。
この構想は1963年、カリフォルニアのディズニーランドにオープンした「魅惑のチキルーム」で結実します。磁気テープの音声信号に合わせて鳥たちが一斉にくちばしを動かし歌うこのシステムは、音響と動作が完全に一致することからオーディオアニマトロニクスと命名され、特許技術として登録されました。翌1964年のニューヨーク世界博覧会では、第16代米大統領エイブラハム・リンカーンが椅子から立ち上がり演説を行う姿を再現し、当時の観衆に「死者が蘇った」と錯覚させるほどの衝撃を与えています。
その後、舞台はテーマパークから映画界へと拡大します。その頂点を極めたのが、1993年公開のスティーヴン・スピルバーグ監督作『ジュラシックパーク』アニマトロニクスです。伝説的な特撮造形師スタン・ウィンストン率いるスタジオが制作した実物大のティラノサウルス(T-Rex)は、全長約12メートル、重量数トンにも及ぶ油圧式の巨大マシンでした。
当時、現場の特番インタビューにおいてスタッフが「豪雨の撮影シーンで皮膚が水を吸って重くなり、油圧制御が暴走して現場が恐怖に包まれた」と証言した逸話は有名です。雨に濡れて光る皮膚、唸り声を上げながら役者のすぐ数センチ先で顎を打ち鳴らす実物の迫力は、黎明期のCG映像と奇跡的な融合を果たし、アニマトロニクス 映画史における不滅の金字塔となりました。