ネット上で「選挙がやばい」と大きな波紋を呼んでいる最大の引き金は、公の選挙制度をハック(悪用)するような候補者や陣営が急増したことにあります。記憶に新しい東京都知事選挙では、過去最多となる50人以上が立候補し、公営ポスター掲示板に候補者とは全く無関係な風俗店の宣伝や女性の露出画像、さらには同一のポスターが数十枚単位で連続して貼られる「ポスター掲示板ジャック」が発生しました。
掲示板の「枠」を寄付金名目で一般に販売・転売するビジネスモデルまで登場し、警視庁が風営法違反や迷惑防止条例違反の警告を出すなど、警察組織を巻き込む異例の事態に発展しました。さらに政見放送では、公序良俗に反するような衣装での出演や下ネタの連呼、挑発的な奇声など、NHKの放送枠を利用した過激な動画コンテンツ作りが横行。街頭演説の場でも、他候補の動線を塞ぎ拡声器で罵声を浴びせる組織的な演説妨害が多発し、公職選挙法の「選挙の自由妨害罪」で陣営幹部が逮捕される事態にまで至っています。
これらの一連のトラブルは、もはや政治的主張の範疇を超えています。「目立った者勝ち」でYouTubeやTikTokの再生回数を稼ぎ、支持者からのカンパや広告収入、インプレッション収益を獲得するという「商業主義」が公職選挙に侵入した結果であり、有権者に「この国の選挙は完全に壊れてしまった」という強い危機感を抱かせた直接の要因です。