最強の敵・後藤との死闘において、ミギーは一度新一の肉体から引き裂かれ、後藤の肉体へと取り込まれました。完全に死亡したかに見えたミギーでしたが、後藤の体内で休眠状態を装いながら生存し、新一の放った毒の一撃を契機に後藤の肉体を内側から崩壊させて逆転勝利をもたらします。
しかし、過酷な闘争をすべて終えたあと、ミギーは新一に対して「永久的な休眠に入る」ことを告げます。なぜミギーは新一との対話を断ち、眠りにつく決断を下したのか。そこには作中の描写から読み解くべき3つの明確な理由が存在します。
第1の理由:新一の人間としての平穏な生活を取り戻すため
ミギーが存在し活動し続ける限り、新一は「右手を見られる恐怖」「怪異として社会から排除されるリスク」に怯え続けなければなりません。ミギーは新一への情愛や恩義を明確な言葉にはしないものの、自らが活動を停止して「普通の右手」に戻ることが、新一が人間社会で生きていくための最善手であると冷徹に判断したのです。
第2の理由:内省と情報整理のための知覚的欲求
ミギーは別れ際、「わたしは自分自身の内面を見つめる旅に出る」といった趣旨の言葉を遺しています。新一と共に生き、人間の文化、哲学、感情、矛盾、そして死線をくぐり抜けたことで得た膨大なデータは、外の世界を探索する段階を終え、ミギー自身の精神世界で深く消化・思索すべき領域へと到達していました。
第3の理由:種としての闘争の終焉
田村玲子(田宮良子)の遺した「私たちは人間の子だ」という悟り、そして後藤の敗北により、寄生生物たちが組織的に人間を捕食・支配する時代は事実上終息を迎えました。外敵の脅威が去った今、ミギーが覚醒して武器化し続ける合理的理由そのものが消滅したのです。