ネット上の情報やSNSでは、時としてミシンの構造に関する誤った対処法が拡散されることがあります。代表的な2つの誤解を正しておきましょう。
誤解1:「糸が絡まったら、はずみ車を力任せに前後に回せば取れる」はNG
釜の中で糸が詰まった際、はずみ車を強引に前後に揺すって引きちぎろうとする人がいますが、これは最もやってはいけない行為です。プラスチック製の内釜に針が突き刺さって傷がついたり、タイミングベルトのギアが飛んで針と釜の同調が完全に狂ってしまいます。糸が噛み込んだ際は、無理に回さずハサミで慎重に糸を切り、針板を外して救出するのが正解です。
誤解2:「安価なミシン針を1本買えばずっと使える」はNG
ミシン針は消耗品です。目に見える曲がりがなくても、針先は数時間の縫製で摩耗し丸くなります。針先が潰れると布の繊維を切断して生地を傷めるだけでなく、釜との接触事故を誘発します。「作品を1〜2着縫い上げたら針を交換する」、あるいは「デニムやニットなど素材を変えるごとに適切な太さの針に替える」ことが、トラブルを未然に防ぐ最大の秘訣です。
【プロの結論】セルフ対応できる範囲と修理を依頼すべき判断基準
ソーイング中に不具合が生じた場合、どこまでを自力で対処し、どの段階でメーカーサポートや専門店に頼るべきか、明確な境界線を引いておくことが重要です。
【自分で対処できるケース】
- 糸のかけ直し、ボビンの向き修正、針の新品交換で直る縫い目不良
- 押さえ金・針板・内釜の清掃で解消する軽微な布送り不良
- 糸調子ダイヤルの目盛り変更で整う上下の糸バランス
【プロの修理点検に出すべきケース】
- はずみ車が手動でも完全にロックしてビクとも動かない
- 針を正しくセットしても針板や内釜にカチカチと金属接触する
- モーターの回転音が明らかに異常で、焦げたような異臭がする
- 内部基板のエラーコードが消えない(コンピューターミシンの場合)