服役を終えたMr. Capone-Eが2000年代初頭に打ち立てたのが、インディペンデントレーベル「Hi-Power Entertainment(ハイパワー・エンターテインメント)」です。メジャーレーベルがチカーノラップをローカルなサブジャンルとして軽視していた時代に、彼は驚くべき自主流通モデルを構築しました。
Mr. Capone-Eは地元のレコードショップやスワップミート(蚤の市)、カーショー会場へ直接CDを卸す泥臭い直販ルートを開拓。1枚10ドル前後で手売りされたアルバムは、口コミとカーオーディオを通じて爆発的に広まり、メジャーの後押しなしに累計数百〜数千万枚規模のセールスを叩き出す一大帝国へと成長しました。
さらに特筆すべきは、彼の卓越したキャスティング能力とプロデュース手腕です。チカーノラップ界の新たな才能を次々とスカウトする一方で、ウエストコースト ヒップホップやメインストリームの大物アーティストに直接交渉を持ちかけ、次々とコラボレーションを実現させました。
Bone Thugs-n-Harmonyのメンバー(Bizzy BoneやLayzie Bone)、Snoop Dogg、さらには名シンガーのNate Doggや高速ラッパーのTwistaといった錚々たる顔ぶれがHi-Powerの作品に客演。このクロスオーバー戦略によって、Hi-Powerは単なるチカーノ専門レーベルから、全米のウエストコースト・ファンを熱狂させる一大ブランドへと押し上げられたのです。