『恋あた』のドラマ性を一段高い次元へ引き上げた最大の要因は、樹木と浅羽を取り巻く新谷誠(仲野太賀)と北川里保(石橋静河)の圧倒的な存在感にあります。本作のキャスト相関図は、一見すると典型的な四角関係でありながら、悪人が一人も登場せず、全員が相手の幸せを心から願うという成熟した大人の人間模様が描かれました。
仲野太賀が演じた新谷は、樹木の才能を誰よりも早く見抜き、無償の愛を注ぎ続けたキャラクターです。第8話のデートシーンで見せた「返事は今すぐじゃなくていいから」と告げる切ない笑顔や、身を引く際の「樹木ちゃん、幸せになってね」という涙の演技は、視聴者の間で「世界一幸せになってほしい当て馬役」として絶賛されました。
また、浅羽の元恋人であり樹木の良き先輩として接した石橋静河演じる北川里保の自立した女性像も、作品に知的な厚みを加えました。恋愛と仕事の狭間で揺れ動きながらも、決して卑屈にならず自分の足で立ち上がる里保の決断は、同世代の働く女性層から絶大な支持を集めました。この4人の高度なアンサンブルキャストがあったからこそ、どの組み合わせを応援しても胸が締め付けられる重層的なドラマが完成したのです。