浅草エリアには新旧問わず数々の名店がひしめき合っていますが、その中でも本とさや浅草の存在感は別格です。創業から半世紀近くが経過した今もなお、映画監督、お笑い芸人、トップアスリート、ロックミュージシャンに至るまで、錚々たる著名人がプライベートで足を運ぶことで知られています。店内の壁面を埋め尽くすサイン色紙の数々は、単なる飾りのプロモーションではなく、本物の食通たちが通い詰めてきた歴史の証人と言えます。
彼らがこの店に熱狂する最大の理由は、現代の洗練されすぎた高級焼肉とは対極にある「原始的な肉の生命力」と「圧倒的な強火」にあります。店舗の公式スローガンにも掲げられている「焼肉もロックも強火が一番!!! 焼肉は青春だ〜♪」という言葉の通り、本とさやの七輪から立ち上る炭火の熱量は凄まじいものがあります。微弱なガス火でちびちびと炙るのではなく、厳選された大振りの肉塊を豪快な強火で一気に焼き上げ、表面を香ばしくキャラメリゼしながら内側に濃厚な肉汁を閉じ込める――このダイナミックな調理体験こそが、多忙な日々を送る著名人たちの本能を揺さぶり続けているのです。
また、もみダレの完成度も見逃せません。肉の個性を殺さず、かつニンニクと香味野菜のパンチが効いた秘伝のタレは、一度味わうと記憶に深く刻み込まれます。脂の強い部位であっても、炭火の燻煙とタレの焦げ香が合わさることで重さを感じさせず、白米や酒を果てしなく進ませる中毒性を生み出しています。飾らない下町の温かさと、妥協のない肉質。この2つが高い次元で融合していることこそが、本とさや芸能人御用達の真相です。