金融庁が下す行政処分には段階があります。予兆として発令される報告徴求命令(銀行法第24条や金融商品取引法第56条などに基づく)を通じて実態解明が進められ、重大な法令違反や内部管理体制の不備が認められた場合に、業務改善命令や業務停止命令といった重い処分が下されます。
近年の金融庁による行政処分の理由を紐解くと、単なる事務ミスではなく、構造的なガバナンス不全が引き金となったケースが目立ちます。具体的には以下の3点が決定打となっています。
第1に、利益至上主義による顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)の欠如です。顧客のリスク許容度を無視したハイリスク商品の回転売買や、グループ間での不適切な情報共有(ファイアウォール規制違反)に対して、当局は極めて厳しい姿勢をとっています。
第2に、急速なデジタル化に追いついていないシステム障害とセキュリティの脆弱性です。度重なる勘定系システムの停止や、不正アクセスによる顧客資産流出を招いた企業に対し、当局は経営陣の責任追及を含む業務改善命令を相次いで発令しました。
第3に、マネー・ローンダリング対策(AML/CFT)の不備です。国際組織FATF(金融活動作業部会)の審査基準に対応しきれず、本人確認や疑わしい取引の届出を怠った事業者へのペナルティが急増しています。