ネットコミュニティやSNSで定期的に話題にのぼるのが「ハム太郎のこうしくんが死亡した回がある」というショッキングな噂です。結論から申し上げますと、『とっとこハム太郎』のアニメ全シリーズ(全296話+続編・劇場版)および河井リツ子氏による原作コミックにおいて、こうしくんが死亡した事実は一切ありません。こうしくんは最後まで元気にハムちゃんずの仲間として活躍しています。
では、なぜこのような荒唐無稽な都市伝説が定着してしまったのでしょうか。当時の放送データやネットカルチャーの変遷を辿ると、主に3つの要因が複合してデマが形成されたことが判明しました。
第1の要因は、「作中で描かれた数々のピンチ描写」です。おっとりしていて足の遅いこうしくんは、猫に追いかけられたり、高所から落下しかけたり、冬眠しかけて動けなくなったりと、作中で危険な目に遭うトラブルメーカー役を担うことが多々ありました。特に第1話での出会いのシーンや大冒険のエピソードにおいて、危機一髪で助かる緊迫した展開が、子どもの記憶の中で誇張されて「死んでしまったのでは」という誤った記憶(フォールス・メモリー)に変容したケースが散見されます。
第2の要因は、「2000年代半ばに2ちゃんねる(現5ちゃんねる)等で流行したアングラ系パロディ・Flash動画」の影響です。国民的アニメのキャラクターをブラックユーモア交じりにパロディ化するネット文化の中で、「ひまわりの種を奪われて衰弱するこうしくん」といった二次創作の悪ふざけテキストやコラージュ画像が拡散されました。当時のネットリテラシーの未成熟さも手伝い、一部のユーザーが公式設定と混同してしまった経緯があります。
第3の要因は、「現実のハムスターの寿命(約2〜3年)とアニメの時間経過のギャップ」から生じる大人の深読みです。現実的な動物生態学の知識を持つ大人が「長寿すぎるキャラクターの影」を邪推し、後付けのダークファンタジー的な都市伝説を仕立て上げた側面が指摘できます。公式記録上、こうしくんは終始健やかに生き続けており、不穏な裏設定などは存在しません。