本作で最も読者・視聴者に衝撃を与えたのが、矢波高のトップであり爆破事件で片足に重度の障害を負った市橋哲人(新田真剣佑)の運命と、トビオの幼馴染・蒼川蓮子(永野芽郁)との恋の結末です。
市橋は当初、事件の首謀者としてトビオたちへの激しい復讐心を燃やしていましたが、逃亡中のトビオと奇妙な共同生活や交流を経るなかで、次第に心を通わせ、唯一無二の「親友」とも呼べる関係を築いていきます。しかし、自分を慕っていた仲間たちの死や、将来を有望視されていた身体の自由を失った絶望、さらにはトビオへの複雑な感情に耐えきれず、トビオの目の前で病院の屋上から飛び降り自殺を遂げるという凄惨な最期を迎えます。この市橋の自死は、トビオの精神を完全に破壊する決定打となりました。
一方、トビオが一途に想いを寄せていたヒロイン・蓮子との関係も、甘い救済では終わりません。事件の告白を経て一度はトビオを受け止めた蓮子でしたが、自首と服役(保護観察)を経て迎えた10年後の未来において、2人が結ばれることはありませんでした。
10年後、平凡な社会人として生きるトビオの前に現れた蓮子は、別の男性と結婚し、子どもを授かって幸せな家庭を築いていました。再会した蓮子は穏やかな笑顔を見せますが、トビオは彼女の日常を壊さないよう一歩引き、心の中で永遠の別れを告げます。愛する人と結ばれることもなく、過去の罪の記憶に怯えながら「普通」を演じて生きるトビオの姿は、本作のテーマである「生き続けることの重罰」を象徴しています。