才木浩人のキャリアを語る上で避けて通れないのが、2019年夏の右肘痛発症と、2026年11月に決断したトミージョン手術です。術後に球団から提示されたのは育成選手契約への変更。背番号35を一時剥奪され、三桁の番号を背負った日々は、精神的にも過酷を極めるものでした。
当時のリハビリ期間について、才木浩人は報道各社の単独インタビューで「投げられない期間に自分の身体を徹底的に見つめ直し、骨盤の使い方や胸郭の柔軟性、指先への力の伝達を一から再構築した」と述懐しています。単なる患部の治療にとどまらず、バイオメカニクスに基づいたフォーム改善と過酷なウエイトトレーニングを愚直に継続しました。
その成果は、2026年5月の支配下復帰、そして同年7月の中日戦で掴んだ「1159日ぶりの一軍白星」で見事に結実します。復帰前は最速152km/h前後だった直球は、球筋のホップ成分と球威が劇的に向上し、自己最速157km/hを叩き出すまでに進化。肘の負担を減らしつつ出力を最大化する運動連鎖の獲得こそが、大怪我を乗り越えて球速アップを果たした最大の秘訣です。