十勝地域全体の医療を守る上で、帯広協会病院が直面し続けている最大の命題が「医療従事者の確保と定着」です。北海道新聞の報道記録などにもある通り、同院は早くも2008年から「24時間体制の院内保育室」を開所し、子育て世代の看護師が安心して夜勤やシフト勤務に復帰できる就業環境の整備を先駆けて進めてきました。
地方都市における医師・看護師不足は深刻さを極めており、系列の帯広看護専門学校をはじめとする養成機関との密接な連携を図りながら、常に看護師求人や医療スタッフの獲得競争が続いています。病院側がスタッフの福利厚生や院内保育に巨額のコストを投じるのは、単なる処遇改善にとどまらず、地域の病床稼働率と夜間救急体制を維持するための死活問題だからに他なりません。
心理社会学的な視点から見れば、医療現場のスタッフは「患者の生命を守る感情労働」と「過密な交代勤務」の二重ストレスに晒されています。利用者が時に現場スタッフの対応を「クールすぎる」「機械的だ」と感じる背景には、現場スタッフが過酷な救急対応の中で自らの精神的破綻を防ぐための心理的防衛機制(心理的バウンダリーの形成)が働いている側面もあります。病院側が働きやすい労務環境を整えることは、医療ミスの防止や接遇の質向上に直結する根幹要素です。