都道府県対抗駅伝を語る上で、インターネット上でしばしば生じる誤解があります。それは「名門実業団の看板選手を揃えられたチームが圧倒的に有利である」という短絡的な見方です。SNSのタイムラインでも、直前のエントリーを見て特定チームを優勝候補筆頭に推す声が散見されますが、これは現場の実態を見落とした典型的な誤認です。
大会には、出身中学校・高校の所在地から出場できる「ふるさと選手制度」が存在します。社会人や大学生がどのチームからエントリーできるかを決定づける重要なルールですが、いくら代表選手が個人の走力で突出していても、全体48.0kmのうち社会人区間は合計21.5kmに過ぎません。残る26.5kmは現役の中高生が担っています。
陸上関係者の取材によると、有力実業団選手を補強できたとしても、地元の中学・高校世代との合同合宿や事前のタスキ練習が十分に取れない場合、かえってチーム全体の結束力が乱れるケースがあるといいます。逆に、地元陸協が小中学生の頃から一貫した強化プログラムを展開し、世代間の風通しが良い地域ほど、本番でのブレーキが極めて少ないという統計的な傾向があります。「スター選手のネームバリュー=総合順位」という単純な図式が成り立たない点こそが、この大会の奥深さであり、見落とされがちな盲点なのです。