3つのブロックに切り分けた後は、メニューに応じた鶏胸肉の切り方を料理別に使い分けるステップに進みます。用途に合わせた断面積と厚みのコントロールが、仕上がりのジューシーさを決定づけます。
まず、野菜炒めや筑前煮、茹で鶏などに万能なのが鶏胸肉のそぎ切りコツを押さえたスライスです。3分割したブロックの繊維に対して直角になるよう包丁を構え、刃を斜め45度前後に寝かせて手前に引くように切ります。肉の断面を広く削ぎ落とすことで、表面積が広がり火の通りが早くなるだけでなく、調味料が短時間で芯まで浸透します。加熱時間が短く済むため、水分が蒸発する隙を与えません。
次に、子どものお弁当や夕食で人気の鶏胸肉の唐揚げの切り方です。唐揚げ用には、一口大の厚みを持たせつつ、繊維を斜めに断ち切る「削ぎ落としブロックカット」が最適です。薄すぎると揚げた際に肉汁が蒸発して硬くなり、厚すぎると火が通る前に衣が焦げてしまいます。約1.5cmから2cmの厚みを目安に、繊維を断ちながら斜めに包丁を入れることで、高温の油で揚げてもふっくらと膨らむ肉汁たっぷりの唐揚げに仕上がります。
ボリューム感を最優先したいステーキやチキンカツでは、鶏胸肉のステーキの切り方として知られる「観音開き」を駆使します。厚みのある中央部分から左右に向けて水平に包丁を入れ、本を開くように左右に肉を開きます。これにより全体の厚みが均一になり、焼きムラを防ぐことができます。開いた後は、肉の縮みを防止するために繊維に逆らって浅く格子状の隠し包丁を入れておくと、火を入れても反り返らず、驚くほど柔らかくジューシーに焼き上がります。これが家庭で実践できる鶏胸肉がパサパサしない切り方の真骨頂です。