空間の縦ラインが強調され、視覚的に天井が高く感じられる天井付けスタイルですが、設計段階で見落とされがちな「生活上の実害」がいくつか存在します。内装施工業者や実際に導入した住宅購入者への取材からは、主に3つの深刻な後悔ポイントが浮かび上がってきます。
最も不満の声が多いのが、天井付けカーテンレールのデメリットの筆頭である「遮光性の低下」です。正面付けであれば、窓枠を覆い隠すように上下左右へ余裕を持たせてカーテンを被せることができます。しかし、天井付け(特に窓枠の内側に取り付けるインセット施工)の場合、レールとカーテン上部の隙間、さらには窓枠と生地のサイドの隙間から、朝方や日中の外光が帯状に室内に差し込みます。「寝室に採用したところ、早朝の光漏れで目が覚めてしまい安眠できない」という声は、施工後のリフォーム相談でも上位を占める事例です。
2つ目の落とし穴は、周辺設備との位置関係の干渉です。近年の高気密住宅では換気システムや大型エアコンが窓周辺に集中して配置される傾向にあります。天井いっぱいにレールを這わせた結果、エアコンの前面パネルが開かなくなったり、風向フラップがカーテンに直撃して生地が激しく揺れたり、クローゼットの開き戸の天面にカーテンが巻き込まれたりするトラブルが多発しています。
そして3つ目が、カーテン生地の特注コストと総重量の増加です。天井高が一般的な2,400mm前後ある住戸において、天井から床すれすれまで届くカーテンを吊るす場合、既製サイズ(丈178cmや200cm)では寸足らずになります。必然的にすべてフルオーダーとなり、遮光裏地を付けた重厚なドレープを選べば費用は正面付け用の約1.5倍から2倍に跳ね上がります。生地の重みが増す分、レールや天井下地にかかる負荷も比例して増大するため、固定強度の甘さが命取りになる構造的なリスクを孕んでいます。