現在第一線で活躍するトップスターたちが公言している座右の銘を俯瞰すると、華やかなパブリックイメージとは対照的な、極めて泥臭いリアリズムが浮かび上がってきます。彼らはなぜその言葉を生涯の指針に選んだのでしょうか。主要な著名人の選定理由と背景を解説します。
数々の映画やドラマで主演を務める小栗旬が掲げる言葉は、「意志あるところに道は開ける」(Where there's a will, there's a way)です。若手時代、オーディションに落ち続け、自身の存在意義に苦悩した時期にこの言葉と出会い、「環境のせいにせず、自分が本気で道を切り拓く意志を持つ」という覚悟を決めたと過去のインタビューで述懐しています。現在、プロデュースや後進の育成にも深く関わる彼の行動力は、まさにこの強い意志の結実といえます。
一方、同世代を牽引する菅田将暉が折に触れて口にするのは、「なんとかなる」という飾らない言葉です。無責任な楽観主義ではなく、限界まで役作りに没頭し、極限まで準備を重ねたからこそ「これ以上は悩んでも仕方がない、あとは現場でなんとかなる」と腹をくくるためのリセットスイッチとして機能しています。完璧主義によるバーンアウトを防ぐための高度なメンタルコントロール術といえます。
また、日本アカデミー賞の常連である役所広司が大切にしているのは「初心忘るべからず」です。世阿弥の『花鏡』に記された本来の文脈である「若い頃の未熟な芸や、その時の悔しさを忘れてはならない」という教えを胸に、国際的な名声を得た今なお現場では新人同様の謙虚さで監督の要求に耳を傾け続けています。