「ルフィとナミは特別である」と信じるファンが最も強力な論拠として挙げるのが、原作第81話「涙」における、あの伝説的なシーンです。魚人アーロンに支配され、絶望の淵で自分の腕を傷つけるナミの手をルフィが止め、ナミの「ルフィ……たすけて……」という絞り出すような懇願に対し、ルフィは無言で自分の宝物である「麦わら帽子」をナミの頭に乗せ、「当たり前だ!!!!!」と咆哮しました。
この麦わら帽子は、かつて四皇シャンクスから「いつか立派な海賊になって返しに来い」と託されたルフィの命そのものです。ゾロやサンジ、ウソップはおろか、後から加入したどの仲間にも自発的に預けることのないこの至宝を、ルフィはナミにだけ一時的に託しました。空島編やフォクシー海賊団とのデービーバックファイトなど、ナミが麦わら帽子を預かる描写は作中で幾度となく繰り返されており、これが「ナミこそがルフィにとっての特別な存在=将来の伴侶」という考察を生み出す原動力となってきました。
さらにネット上の考察班を刺激してきたのが、コミックスの表紙やカラー扉絵に見られる視覚的なギミックです。例えば、ルフィとナミが対になるようなポーズを取っていたり、ナミがウェディングドレスを想起させる白い衣装を身にまとっていたり、王冠を被ったルフィの隣にナミが寄り添うイラストが散見されます。一部の考察系ブログでは「扉絵のライオンや花の描写は、タロットカードや花言葉で結婚を予兆している」といった過熱した深読みまで展開されました。
しかし、こうした視覚的演出の真相は、作品全体の構図論として捉えるのが自然です。ナミは第1話から構想されていた実質的な筆頭ヒロインであり、麦わらの一味の航行を司る「司令塔」です。画面全体のビジュアルバランスを整える際、主人公であるルフィの隣に華やかなメインヒロインを配置するのはグラフィックデザイン上の必然であり、そこに将来の婚姻関係を決定づけるプロット上の暗号が隠されていると断定するのは飛躍が過ぎると言わざるを得ません。