斎藤仁氏の逝去から時を経て、日本柔道界にそのDNAを色濃く受け継ぐ怪物が現れました。次男の斉藤立(たつる)選手です。
父と同じ国士舘高校、国士舘大学へと進んだ立選手は、身長190cm超、体重160kgを超える大柄な体躯を誇り、高校時代から父譲りの柔道センスを発揮しました。大外刈りや体落としの切れ味、畳の上での構えは、往年の斎藤仁氏を彷彿とさせると柔道ファンを驚嘆させました。
しかし、その道のりは決して平坦ではありませんでした。「偉大な五輪2連覇王者の息子」という重圧は、多感な少年の肩に重くのしかかりました。そんな彼を陰で支え続けたのが、母・三恵子さんでした。父の偉大さを誇りに思わせつつも、決して父と比較することなく、一人の柔道家としての自立を温かく見守り続けました。
2022年の全日本柔道選手権において、立選手は20歳という若さで初優勝を飾り、史上初となる「親子2代での全日本制覇」を達成しました。表彰式の壇上で涙を堪えながら天を見上げた姿は、多くのファンの胸を打ちました。2024年のパリオリンピックを経て、2026年現在も日本重量級のエースとして国際大会の最前線で戦い続ける立選手の背中には、天国の父から託された約束が宿っています。