まず結論から示す。アパレル業界の平均年収はおおむね350万〜450万円のレンジに収まる。厚生労働省の賃金構造基本統計調査や民間転職サービスの公開データ、上場アパレル企業の有価証券報告書を突き合わせると、業種を「アパレル・ファッション」と括った場合の平均は約380万〜420万円、中央値はさらに低く350万円前後とみるのが実態に近い。これは全産業平均(約460万円前後)を明確に下回る。
ただし「アパレル=一律に安い」と括るのは乱暴だ。企業規模と業態で分布は大きく割れる。たとえば大手アパレルSPAの総合職や商社系ファッション部門では平均600万〜800万円に達する企業も珍しくない。一方、個人経営に近いセレクトショップや中小アパレルメーカーでは250万〜320万円というケースも珍しくない。つまり平均値は「業界の二極化」をならした数字であり、自分がどの層にいるかで意味合いがまったく変わる。
2026年に入り、アパレル業界ではECシフトと海外調達の再編が進み、企画・MD・サプライチェーン系の職種で給与テーブルが上方修正される動きが目立つ。報道各社が伝える転職市場の年収オファー額でも、こうした職種は前年比5〜10%の上昇が見られる。逆に店舗販売職は横ばいか微減で、格差はむしろ拡大している。