あのドレスを語る上で外せないのが、気の遠くなるような制作プロセスだ。チーフデザイナーのサンディ・パウエル率いるチームは、たった1着のドレス(撮影用に計8着が作られたが)を完成させるために、延べ1万時間以上を費やしたという。
使用された生地の総量は約270メートル。しかも、ただの青い布ではない。ターコイズ、ラベンダー、ライラック、そして薄いブルーなど、微妙に異なる色合いの極薄シルクやポリエステル・クレープラインが何層にも重ねられている。これにより、シンデレラが動くたびに水彩画のように色が混ざり合い、まるでドレス自体が発光しているかのような視覚効果が生まれた。この「多層レイヤード」の手法は、現代のカラーウェディングドレスのデザインに決定的な影響を与えている。