禁固刑と懲役刑の違いは労働だけ?拘禁刑一本化で変わる刑罰の真実

禁固刑と懲役刑の違いは労働だけ?拘禁刑一本化で変わる刑罰の真実

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懲役刑から拘禁刑への移行は、刑事政策の観点から見れば、明治以来の「応報刑論(罪を犯した者に苦痛と労役を科して報いを受けさせる)」から「特別予防論・改善更生論(受刑者の特性を改善し、二度と犯罪を起こさせない社会復帰を目指す)」への決定的なパラダイムシフトです。

家族社会学や心理学の知見に照らせば、犯罪を繰り返す個人の多くは、幼少期の劣悪な家庭環境、孤立、発達特性への無理解、心理的バウンダリー(境界線)の崩壊といった複雑な背景を抱えています。単に身体を拘束して画一的な工場作業を強制するだけでは、出所後の社会生活に適応できず、再犯に至る負の連鎖を断ち切ることはできませんでした。

【プロの結論】拘禁刑時代に見出すべき法と社会の判断基準

今回の法改正によって、刑務所は「苦役を科す隔離施設」から「再犯防止に向けた全人的なリハビリテーション機関」へとその性格を強めました。しかし、ここで注視すべき課題もあります。個々の受刑者に合わせた教育プログラムを設計・指導できる専門職員(矯正心理専門官や社会福祉士など)の確保、そして出所後の受刑者を受け入れる地域社会側の支援体制です。

「刑罰が軽くなったのではないか」という世論の反発も根強く存在しますが、真の社会的防衛とは、受刑者をただ苦しめることではなく、彼らが再び罪を犯して新たな被害者を生み出す構造を根絶することにあります。拘禁刑という新たな仕組みが実効性を持つかどうかは、刑事司法の内側だけでなく、刑期を終えた元受刑者をどう社会へ再包摂できるかという私たち社会全体の成熟度に委ねられています。

阿部 裕樹
著者

阿部 裕樹

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。