ガッツポーズの真の由来とは?石松説の裏と禁止競技の決定打

ガッツポーズの真の由来とは?石松説の裏と禁止競技の決定打

ガッツポーズの真の由来とは?石松説の裏と禁止競技の決定打についての疑問解決ガイドをご紹介します。

歓喜の身体表現として定着したガッツポーズですが、日本の伝統武道である剣道の公式試合でこれを行うと、直前に決まった「一本」が即座に取り消されるという厳しい処分が下されます。世界的なスポーツの祭典でアスリートたちが誇らしげに拳を突き上げる光景を見慣れた層からは、「感情を露わにしただけでポイントを奪うのは厳しすぎるのではないか」という疑問の声もしばしば上がります。しかし、ここには日本古来の武士道が培ってきた極めて合理的な哲学が存在します。

全日本剣道連盟が定める『剣道試合・審判規則』第24条および同細則第23条において、一本の成立には「充実した気勢、適正な姿勢をもって、竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、残心(ざんしん)あるもの」と厳格に定義されています。ガッツポーズが違反となる最大の論理的根拠こそ、この「残心の喪失」にあります。

残心とは、技を決めた直後であっても油断せず、相手の反撃に即座に対応できる心身の構えと集中力を維持し続ける状態を指します。竹刀ではなく真剣を用いた命のやり取りを想定する武道において、相手を斬った瞬間に喜び勇んで両手を挙げ、背中を見せる行為は「致命的な隙」を晒す自殺行為に他なりません。どれほど鮮やかに面や小手が決まろうとも、拳を握りしめて快哉を叫んだ瞬間に「相手を制圧した集中力が途切れた」と審判員に判断され、合議の末に一本が無効化されるのです。

さらに重要なのが、対戦相手に対する「礼節と敬意」の観点です。武道における勝負は、自己の修練を相手に投影し、互いの全存在をぶつけ合う神聖な儀礼と位置づけられます。敗れ去った対戦相手の尊厳を前にして傲慢な勝利の笑みを浮かべることは、相手への侮辱であり、武道の根幹である「礼に始まり、礼に終わる」という精神協定を根底から破壊する行為とみなされるのです。

中川 明日香
著者

中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。